「鬼道をよくする」と中国の史書に描写され、シャーマン巫女として日本で一番古い女王として知られる卑弥呼の昔から、日本ではシャーマニズムが盛んなのです。女王になるジャンピングボードは、稲作のための天候と恵みをもたらす雨乞いの成功による周囲からの引き立てであった、などと考えられています。古代において、人々を豊かにするその手の能力である神通力、というのが聖王の印、というわけだったので、飢饉などは王に徳のない印、とされるのが中国などにおいても倭国といわれた日本においても普通のことでした。それどころか日食による人心の動揺さえ卑弥呼のせいにし、ついには当時の日食頃に当の女王は殺されてしまった、とする「逆説の日本史」シリーズで有名な井沢元彦氏の仮説があります。それくらい、神通力だけで女王位を維持していた、特異なタイプの古代国だったのですね。
最近では、巫女、と一口にいっても、色んなタイプに分類され、意味合いも分化してきています。つまり、必ずしも「巫女」で検索すれば全情報を閲覧可能、というわけにはいかないので注意が必要になってきます。例えば、電話占いでよく検索されるキーワードの一つに、「イタコ」や、「ユタ」といった言葉がありますが、このような言葉は、広い意味では全て『巫女』ということになります。イタコ、ユタ、巫女、霊能者――、と色んな言葉が電話占いの説明の文章に出てくるのに、それら、ひとつひとつの意味を正確によくわかっていないと、目的にあった相談相手への依頼が難しくなります。
崇神紀に出てくるヤマトトトヒモモソヒメノミコトといった古代を生きた女性たちも、シャーマンとして古事記に描写されています。けれども、神殿のなかで神託をえる、という生活が主の巫女は、意外なことにも、政治や軍事作戦の方針をきかれたり、なかにはご祈願もさせられたり、といった難しそうな厄介事を多く押しつけられていたようです。この点は、古代アテネの有名なデルポイ神殿と同じです。彼らは神殿の地下の地盤から湧く、今で言うところのエチレンガスによって神託をえる状態になりえていた、という意外な事実が調査によって最近になって知られています。では、古代からのシャーマンのほうではなく、イタコはといえば、神託というより、死別した親類やご先祖との、交渉の機会を作ります。ユタも、地域が違えども、似たような特徴を有している、といわれています。