大学生の頃、初めて幽体離脱(体外離脱)を体験しました。もっとも、理系の大学に通っていた科学者のタマゴとしては、こんな話、他人にしたことはありません。ある夜、単位のために絶対落とせない試験を控え、実験のレポートを溜め込み、アルバイトを掛け持ちして、サークルでも部長としてみんなをまとめ、彼女とケンカして……そんな精神的にも肉体的にも最低の時期に、突然起こったのです。ついウトウトとしたとき、読経が聞こえてきたのです。壁を隔てた隣の部屋からのようであり、テレビの中からのようであり。なんだろうと思う間もなく、ストンと落ちるような感覚の次の瞬間、今度はグイッと上に引っ張られたのです。えっと思ったときには、机に突っ伏した自分の背中を空中から見ていたのでした。驚いた、と言うよりは思考が停止した状態でした。無重力に等しい空中なので歩くことはできませんが、“前に進みたい”と念じればその通りに進むことができました。時間にしてほんの3分くらいでしたか、今度もガクンと身体が揺れたと思ったら元に戻っていました。それからこの歳まで、幽体離脱は5回経験しました。いずれも精神的、肉体的に参っているときで、必ず読経のような声が聞こえるのです。こんな話、今まで誰にもしませんでしたが、なんだか話せてとてもスッキリしています。
岡山県・男性・33歳・物理教師
鑑定師の先生から
幽体離脱、あるいは体外離脱とも言いますが、ただフワッと身体から魂が抜ける人と、この方のように読経だったり匂いだったり光だったり、なにかしらスイッチがある人とに分かれます。霊能者によって解釈は異なるかもしれませんが、原因のひとつとしては本人に強烈なプレッシャーやストレスが挙げられます。「今の自分から逃げたい、遠くへ行きたい」という気持ちが、精神(意識体)を器である肉体から分離させるのです。幽体離脱を何度も経験した人の中には、自らの意志で幽体離脱が可能になることもあります。しかしそれは、戻れなくなる危険性もありますのでお勧めは致しません。